カラスウリを撮る

真夏の夜の夢とでも言ったらよいだろうか。このカラスウリの花を見たことがないという人は意外と多い。夜にならなければ花を開かないのだから無理もない。しかもその場所はふだんから人のあまり近寄らない薮なのである。日没とともに花を開き始め30分ほどで開き切る。それが翌朝には見る影も無く茶色の残骸が薄汚く葉にへばりついている。
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カラスウリの花の撮影にはコツが要る。私のノウハウを公開しよう。日没後の暗い時間だからストロボをたくことになる。しかしこの暗さになるとカメラのAF機能が効かない。レンズは虚しく行き来するだけである。解決策として懐中電灯を用意する。右手ひとつでカメラを持ち、懐中電灯を持つ左手を添える。これでピント合わせは可能になる。でもここでシャッターを切ると懐中電灯の赤い光が映ってきれいな純白は得られない。シャッターを切る前にピントのあった半押しの状態で懐中電灯の光をそらす。視野が暗くなった状態で闇雲にシャッターを押し込む。もし助手が居れば操作はずっと容易になる。接写だからピントは浅い。なかなかジャスピンというわけにはいかない。解決策はここでも何枚も撮ることである。10枚も撮れば1枚くらいはまあまあというのがあってもよい。

カメラはCCDの小さいものが有利である。CCDの大きい一眼レフはピントが浅いから格段に難しい。でもうまく使えばムードのある写真が撮れる。この例でも手前のレースにピントが合って花はぼけてしまった。贔屓目にムードが出たと言って置こう。あ、それから大事なことだがストロボの光量は普通の設定ではオーバーになって花は真っ白にとんでしまう。私は-2.0、つまり4分の1に絞っている。これで花弁のディテールが描写出来る。
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ストロボの写真は鮮明には写るが中間の色調が乏しくムードに欠ける。それに花だけ撮ってもつまらない。夕闇の情景を生かした風景写真が撮りたい。なんとか生の撮影が出来ないものか。暗さの限界への挑戦をやってみた。

日没直後のまだ薄明の残る頃、開きかけたカラスウリの群落を前景に暮色に包まれた風景を写した。でもカラスウリの姿は小さく花は半開きで迫力が無い。思い切って別にアップで撮った花を嵌めこんでみた。いささか不自然で恥ずかしいがこんな試みもあるという例として挙げさせてもらった。
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ニコンD70にマイクロニッコールをつけて開きかけの花を狙った。薄明の空と街灯の光を入れた。案の定ピントは甘い。それに感度自動制御機構が働いて高感度設定になったらしく画面が荒れてしまった。失敗作である。でも色調はストロボ撮影とはまったく違ったムードのあるものになった例としてあえて公開する。
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カラスウリの花の蕾は普通の花とは違っている。緑色の丸い蕾は頂点から五つに割れて外側に反り返る。その時に畳み込まれた繊細なレースを内側から引き出すのだ。微妙な生長ホルモンのバランスと水の浸透圧の働きの結果だろうか?自然の妙に驚く。
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おなじカラスウリの花でも夏の始めに咲くものがレースもすっきり伸びて美しい。今頃夏も終わりに近づくとレースの先端は丸まって伸びない。

毎年暑い夏が巡ってくると日暮れとともにカラスウリを探して家を出る。それは恋人に会うようなときめきと時間を忘れさせる瞬間が待っているからである。私と同じように暗くなるとカラスウリに集まる者がいる。スズメ蛾である。羽音を響かせてホバリングしながらその長い吸管を伸ばして花の蜜を吸う。
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by namiheiki | 2005-08-25 12:36 | デジカメ談義
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