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印象的な色

この映画をご覧になった方はもうかなりのご年配かもしれない。戦後まだカラー映画が珍しかった頃だ。「天国への階段」というイギリス映画があった。冒頭モノクロームの天国から一輪のバラが地上へと落ちるシーンがある。バラが地上に近づくに従って色が付き始めやがて真っ赤なバラが地上に落ちる。女主人公がこれを拾うところから物語は始まる。(脚註参照)
モノクロームの中にただ一つの色、これは空想と現実を繋ぐ役を担って効果的である。画面が幻想的に見えるのはそのためだ。私の写真の中でもそんな例は数少ない。それをご紹介しよう。

湖畔 先月奥日光を訪ねた。朝5時に目が覚めて薄明の湯の湖の湖畔を散歩した。梅雨時のこととて雲は低くたれこめ死んだように風も無かった。美しい朝の光を期待していたのでいささかがっかりした。見ると冬の間クローズしていたボートハウスの前にはシーズンとあって沢山の白いボートが繋がれていた。よくある構図であまり気が進まなかったが取り敢えず1枚シャッターを切った。ボートには黄色いペンキを塗ったものがあり、その時はぶち壊しの色に思えた。なるべく目立たないようにと隅に追いやった。
 帰宅してパソコンで画像を見てはっとした。黄色が効いている!モノトーンの画面の中でこの黄色は控え目ながら渋いアクセントになっていたのである。
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 柿右衛門ではないが柿の色は美しい。この美しい色を際立たせるには雪景色の中で撮るのが一番である。渋柿は冬になっても木の枝に残っているからこんな風景も可能である。降る雪を描写するには暗いバックが必要である。
 雪に落ちた牡丹、サザンカに積もる雪、紅葉を彩る雪も同じように意外性と新鮮さがある。でも降雪の中での撮影は注意を要する。レンズに雪がかかるからである。これについては前に書いたように思うので省略する。
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大晦日 雪はモノクロの世界をお膳立てする。一昨年は大晦日の午後から雪になった。神社は初詣客を迎える準備で忙しそうだった。雪の中で朱塗りの門は常にも増して壮麗に見えた。数時間後にはこの境内は善男善女で溢れるのだろう。
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飛び立つ 真冬の川面でのショットである。餌を狙っていたアオサギが近づくカメラを嫌って飛び立った瞬間である。モノトーンの暗い画面で唯一の色は朝の空を映した水面の僅かな赤色である。この画像は「幻想的な写真を撮る」でも紹介した。モノトーンの写真はしばしば幻想に通じる。
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【註】(06/08/14) アメリカに住む友人のご好意で「天国への階段」のDVDを送って頂いた。天国から落ちるバラのシーンはなかった。どうも他の映画のシーンとダブって記憶していたらしい。その映画の題名は思い出せない。ご存知の方はコメント頂ければ幸いです。
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by namiheiki | 2006-07-08 15:42 | デジカメ談義