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風を表現する


生命の宿る地球の環境をつくっている要素は太陽と水と空気である。太陽と水は見ることが出来るが空気は見えない。空気の動きである風も目で見ることが出来ない。勿論レンズでも見えないしカメラで写すことは出来ない。むしろ風はしばしば撮影の大敵である。風で揺れる花はピンボケになる。風に押される身体はカメラのホールドを難しくする。

しかし風が無くなったら風景写真は大いにその表現領域を失うだろう。風を表現することで写真に動きが出来、写真が生きてくる。視覚で風を感じて人の肌を刺激するのだ。

ではどうしたら風を表現出来るのだろう。風そのものは写すことは出来ないが風のもたらす象を写すことは出来る。風にそよぐ木、葉、草、花、波立つ水面、風に流される雲などである。そんな視点で過去の何枚かの写真を春から冬へ季節順に並べてみることにしよう。


春の嵐

柳に風、昔から変わらぬテーマではある。あえてこの陳腐なテーマに挑戦してみた。季節の変わり目、三月にはよく強い北西の風が吹く。川沿いの芽吹き始めたシダレヤナギを材料に強風を真横から狙った。
風は凄まじく吹き飛ばされそうで腰を屈めてやっと身体をホールドした。幸い好天で明るかったから早いシャッター速度を選ぶ事が出来た。吹き飛ぶ雲の位置も考慮したが、ポイントは手前の柳の枝の一部を画面上部に入れたことである。これで奥行きのあるダイナミックな画面が出来たと思う。ちなみにこの部分を隠してみると平凡な写真になってしまう。
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花吹雪

春風に散る桜、あまりに有名なテーマだが気に入った写真が無い。それだけチャンスに恵まれることが難しいということかもしれない。気に入らない写真だが他に適当なものがないのであえて載せる。来春にまた挑戦してみよう。
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鯉のぼり

心地よい薫風、爽やかな五月の空に泳ぐ鯉のぼり、日本ならでは風物詩である。定番だが風の表現でこれほど鮮やかなものは少ない。
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稲穂

七月、早稲の穂が出揃った。夕風に波打つ稲穂の光と影の織りなす模様は美しく波の形時々刻々に変わる。これは実際に十数枚撮った中の一枚である。寄せ集めてアニメーションを作ってみた。
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夏雲

ぽかりぽかりと等間隔で流れて来る雲、リズミカルな雲の行列にのどかな南の風を感じて頂けるだろうか。
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オーツクの風

七月だと言うのにオーツク海の風は冷たい。荒れた海の白い波、風を切って飛ぶオオセグロカモメの編隊。冷たい北風を感じていただければ幸いである。
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北風

秋台風が足早に去って大陸の高気圧が張り出した。冬を思わすような北風が吹きつける。夕日をバックに千切れ雲が次々に通り過ぎる。風になびくエノコログサが季節感を醸す。
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綿毛

風が吹いて実を結んだタンドボロギクの綿毛が一斉に舞い上がる。ファインダーを覗くとそこはお伽の世界だった。
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川面

初秋の川面を吹き渡る風、美しい波紋に爽やかな風の足跡を見た。セイバンモロコシの穂を入れることで季節感を出したかった。
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秋風

今年は猛暑が続き彼岸だというのにまだ真夏日が続く。でも夕刻にはほっとするような爽やかな風が吹くようになった。そよぐメヒシバとキンエノコロの穂でこのくすぐるような柔らかな風を表現してみたかった。
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落葉

さわさわと斜面林の梢が鳴ってはらはらと葉が落ちる。これは静の風である。
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散り残る

11月も末、北風が散り残った桜葉に容赦なく吹きつける。やがてすべてが散って来春の芽吹きを準備するのだろう。
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雪煙

冬の奥日光湯の湖の夕景、手前の波立つ湖面、遠方の凍結した湖面に積もった雪。風で舞い上がる氷上の雪が冬の厳しさを感じさせる。
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まだまだ色んな風の表現があるだろう、「千の風」があるのだから。意識的にしろ、無意識的にしろ誰かが毎日何処かで自分の感じた風を撮っているのに違いない。
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by namiheiki | 2007-09-24 22:11 | デジカメ談義