木を撮る(3)

シルエットで撮る

前回は斜光の美しさをお見せしたが、逆光の空をバックに撮ると当然ながらシルエットになる。普通は嫌がる光線だがこれも利用の仕方で木の特徴を際立てる道具になる。

木の特徴がもっとも現れるのは葉を落とした冬の木立である。最初の例は形の面白さで見せるものだが竹箒を逆さに立てたような細長いサルスベリの並木の枝ぶりが主題である。全体に同じ形の繰り返しでパターンになっている。こんな時パターンを壊す余計なものが写り込まないようにカメラアングルを工夫する。(この場合邪魔な電柱をなるべく木の影に隠すように) シルエットを引き立てるために日没時の空の色のグラデーションを利用した。
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樹形は勿論大事だが同じように大切なのはバックになる空の表情である。これによって写真の雰囲気が決まってくる。次の二例は小さなハンノキだが夕焼け雲や夕日そのものが決定的な役割を演じている。
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次の例は旧家の屋敷門脇に立つムクの大木である。20m以上もあるこの木はさいたま市の天然記念物に指定されている。春先のまだ芽吹く前、独特の丸い樹形を沈む太陽をバックに撮った。
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逆光でなければシルエットにならないわけではない。次の例は同じムクノキだが左手のウメノキともども朝霧のためにシルエットに見える。
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次も同じ朝霧の風景であるが順光であるにかかわらず霧で手前の夫婦松にはまだ陽が当たっていないのでシルエットになった。霧のためにバックは単純化され松は浮き上がってみえる。
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これも朝霧の撮影、公園の池畔に立つ芽吹き始めたヤナギの木立。霧のためにシルエットの濃淡で遠近感が描出され、淡い色彩にも助けられて柔らかな早春の雰囲気が出たように思う。
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# by namiheiki | 2008-12-13 16:01 | デジカメ談義

木を撮る(2)

光を生かす

木に限らないが光で木の表情は一変する。特に朝や夕方の光は木の梢だけに当たるから効果的である。全体に当たった光は散漫で平凡だが一部分だけに当たった光は存在感を強調する。最初の例は真冬の鹿沢高原、朝もかなり遅い時間だがやっと山の稜線から現れた太陽が斜面の落葉松林の霧氷に当たり始めたところを狙った。
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次の例は今が落葉のシーズンのメタセコイアである。最初の1枚は朝日が梢の先端に当たり始めたところ、二枚目は沈む夕日が梢を照らすところを木全体を仰角で狙った。色温度の低い光のせいでメタセコイアの茶色い葉は鮮やかなオレンジ色に輝いて印象的である。この木は広葉樹が上から落葉を始めるのに対し下葉から落葉するのも面白い。
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# by namiheiki | 2008-12-11 18:00 | デジカメ談義

木を撮る(1)

なみへいの遊山デジカメ談義も心ならずもここ1年ほど留守にしてしまった。今回は木をテーマに取り上げてみたがいっぺんにと言うとつい億劫になるので数回に分けてこのテーマに挑戦することにする。

風景写真では必ずと言って良いくらい木が入ってくる。また木に咲く花や実は数多く写真に撮られる。でも木そのものをテーマに撮ることはあまり多くは無い。かく言う私も実は木を撮るのは苦手である。と言うかそれほど木に興味がある訳でもないし知識がある訳でもない。しかし長年撮りためた画像を見ていると木の表現で何かが言えそうな気もして来た。いくつかの作例について自分なりの感想を述べてみる。

いきなり驚かすような写真で恐縮だが、これはもう10年も昔に撮ったケヤキである。まだ寒が早春の気配が感じられる2月、裸のケヤキの木肌が美しいと思ったので素直に真正面からカメラを向けた。夜来の雨があがって林は靄っていたが濡れた木肌はあっと思うほどきれいだった。乾いた何時もの木肌は白く味気ないがこの時は生命に満ち溢れた艶やかな肌だった。カメラは斜に構えるより堂々と真正面から狙いを大きくとると迫力が出る。左右の僅かな空間だけで林の中であることは十分わかる。
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真正面から撮るという意味では次の二例も参考になろう。最初の画像は広い野に立つ茶に紅葉したクヌギの大木、二番目はテニスコートに植栽されたこれもきれいに紅葉した楓(モミジバフウ)である。木全体を写したくなるものだがカメラを引いてしまうと迫力が無くなる。全体を入れなくても見る人は木全体を想像してくれるものだ。見る人に想像力を働かせる、それが狙い目である。画面の8割を木が占め、下部の小さなスペースで背景を見せる。木のある環境の説明はそれで十分なのである。
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次の例は公園のアメリカスズカケノキであるがこれは「引き算」で登場させたことがあるのでこれ以上の説明は省略する。
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とは言うものの木全体を撮ることも無いわけではない。次の例は銀杏の黄葉であるが、これはまったく逆に黄色い銀杏を小さく画面の真ん中に入れることで美しい落葉の黄に目が行くことを期待した。左の桜の木は無くもがなと言いたいところだ。
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# by namiheiki | 2008-12-09 17:31 | デジカメ談義