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木を撮る(6)

変わった撮り方

長々と談義を続けて退屈された向きも多いと思う。この辺で「木を撮る」シリーズを終りにしたい。最後に変わった撮り方をご紹介して締めくくりとさせて頂く。

ヤナギ

風に揺れる早春のヤナギの芽吹き、誰でも撮りたくなる被写体だがこのしなやかな美しさを表現するのは結構難しい。作例は実験的なこころみである。暗いバックを選んでヤナギの一部を切り取った。露出を絞りかつレタッチでコントラストを極端に強めて枝のカーブを強調してみせた。木の幹すらバックに沈んで見えず、しだれ枝の質感は失われてしまったがこれはこれでシュールなパターンとして見られるのではなかろうか。
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梅が枝

ここでは梅が枝の実体はほんの一部しか写っていない。写っているのは昔風の白壁に映る梅が枝の影である。でもそれが故に梅が枝の繊細な枝振りの全容がかえって強調出来たように思う。
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長屋門

最後にお見せするのはごくまともな写真である。旧家の長屋門の屋根から覗く中庭のハクモクレン、変な撮り方でも何でもないが屋根越しに見える木の上部が屋根瓦とマッチして格調ある趣きをかもしている。これは被写体そのものが持つ魅力である。写真はやっぱり足で撮るものと言うべきかもしれない。初心に戻れというのは写真でも本当らしい。
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# by namiheiki | 2008-12-22 22:34 | デジカメ談義

木を撮る(5)

シャッターチャンスを生かす

木は動かないけれど勿論シャッターチャンスはある。季節、気象条件、時間でその装いと表情を一変するからである。作例をお見せするのが手っ取り早いだろう。

アカシデの芽吹き

早春芽吹き始めたアカシデ、枝振りの良い梢に前夜の雪が辛うじて残っていた。赤味のある枝に点々と残る白い雪が気持ちの良いコントラストをつくっていた。こんな時間は長くはない。雪が無かったら平凡な写真となるだろう。
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ハクモクレン

白い霧の中のハクモクレン、暗い杉木立をバックに仄かに浮き出してみえる。霧の醸す情感だろう。20分後には霧は上って平凡な風景になった。
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イイギリ

木の仰角撮影はよく見かける構図で力強さを表現するのによい。ここではイイギリの赤い実のマスを表現するためにすっかり葉を落とした12月下旬の時期を狙った。時期は長いようだがある日あっと言う間にヒヨドリが食い荒らしてしまうので油断は禁物である。もっともヒヨドリが啄ばむ姿も絶好の被写体であるが。撮影にあたっては赤い実に十分順光の行きわたるある程度日の傾いた時間がが赤も強調されて効果的である。逆光は禁物である。
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メタセコイア

好きな木で何度も登場して恐縮だがメタセコイアの紅葉が映えるのはやはり朝か夕方の色温度の低い斜光である。作例は朝霧も手伝って外国のようにきれいな風景になった。霧の出る日は一年に何日とは無いし早朝の短時間に限られる。チャンスは準備の出来た人にしか訪れない。
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エゴノキ

桜を始め花の咲く時期は勿論シャッターチャンスであるが、ここではエゴノキを紹介したい。この木は林縁にあることが多く葉が展開してから下向きの白い花を沢山つけるから森のシャンデリアと言われる。仰角撮影が一般的であるがここでは敢えて真横から撮ってみた。花の白が縁取って普段は他の緑に埋もれて樹形の目立たないこの木の形を浮き上がらせてくれた。
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# by namiheiki | 2008-12-20 11:27 | デジカメ談義

木を撮る(4)

広い風景をバックに撮る

広い風景の一部として木を撮る時、主題を明確に木に置く事がポイントとなる。漫然と撮ると木は風景に埋もれてしまう。それにはやはり木を画面いっぱいに入れることである。主題は木であることを忘れずに風景はほんの一部でもよい。でも木が置かれた環境を説明するためにおろそかには出来ない。

残雪の八ヶ岳の遠望できる桜咲く4月下旬の日野原高原、山も桜も両方撮りたい。ここは思い切って広角で桜の並木を画面一杯に入れた。当然八ヶ岳は小さくなるがそれでも存在感はむしろ強調されて遠近感とスケールの大きさを出せたと思う。
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次の例は見沼の畑、代用水路脇のエノキが黄色く黄葉した11月、遠くの桜並木も赤く紅葉している。主題は勿論エノキである。広角で十分に大きく入れ、かつ低アングルで樹形を空に浮き上がらせた。遠景の風車や桜並木は画面下部にやっと入るだけである。秋らしく適当に薄雲のある空にも助けられてエノキを主題としながらもスケールの大きな風景になった。
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次の例は早春の公園のシダレヤナギ、花芽を出し始めたしだれ枝とヤナギの並木とを同時に撮ろうという欲張った試みである。ここでは枝を画面一杯にいれ、ヤナギ並木の全体像を小さく画面下部に入れた。ここでも広角レンズがものを言った。焦点深度が深い特性で近くの枝や花芽にピントを合わせたのだが遠方のヤナギまで十分描写してくれた。ヤナギに風と言うが風で揺れるヤナギの枝はカメラ泣かせである。出来るだけ高速シャッターを切ることも必要である。
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梅園では花をアップで狙う人が多い。ここでは枝振りを主眼に梅園全体の雰囲気を出したかったのでこんな構図になった。梅の下には沢山の梅見客が居たのだがうまくカットすることが出来た。
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# by namiheiki | 2008-12-15 21:46 | デジカメ談義